明けましておめでとうございます。

収まると思った新型コロナは、変異種の出現で予断を許さない状態になりました。しかしながら、WEBミーティングのお陰で、国内に止まらず海外もWEBミーティングで営業業務を行うため、移動時間を考えるとむしろ、効率的であると思うようになりました。

11月には、JEC Asia の講演で、小野市から韓国に向けてWEB講演をさせて頂きました。弊社は、兵庫県小野市郊外にあり周囲は風通しの良い林と畑に囲まれており、来場者の皆様には大変ご不便をおかけしておりますが、恵まれた環境でrCFを用いたコンパウンド、コンポジットの開発に注力しております。

ここで、いくつかの新技術をご紹介いたします。
rCFコンパウンドについては、リサイクル材ならではの特徴を生かした高性能CFRTPの開発が終了し、既にサンプル出荷を始めております。
開発当初は、新品CFと比較するためPA6-30rCFを開発し、ご評価を頂いておりましたが、新品CFRTPより値段が安く、性能同等の成型品を供給するだけで、新品CFが築き上げてきた市場を侵食する材料でしかないという自責の念に駆られてきました。
勿論水平リサイクル、サスティナブル、LCA等社会的には評価していただけますが、ビジネスとしての意義はあまり感じられません。

先日、SAMPE JAPAN で講演の機会を頂きました。
この場にふさわしい内容について、案を練っていた時に、「なぜ、CFRPのリサイクルを手掛けたか」というところをまだお話していなかったことに気づきました。まさに初心に戻ってリサイクルを述べよう!と思いました。
 リサイクル技術を手掛けるきっかけは、講演で述べましたように2つあります。

1.CFをコンパウンド装置(2軸押出し機)にサイドフィード出来る限界は30~35%であり、サイジングの量を増やしてもサイドフィードの供給量は増やせない。一方、熱硬化性樹脂を低濃度で添着させ、400~500℃で炭化したものは、サイドフィーダー内部で収束力を発揮し、樹脂内に入った瞬間に結束が崩れ均一に樹脂に分散する。この分散状態は、長繊維ペレットより良好で、得られる成型品表面に良好なスキン層を発現する。
このアモルファスカーボン収束材を用いると40~50%のCFを通常のコンパウンド装置」で得ることができる。
即ち、CFRPを熱分解、炭化、部分酸化のプロセスを再現性良く操作できれば、高価な新品rCFをアモルファスカーボンで収束するよりはるかに低価格で、熱硬化性樹脂由来のアモルファスカーボンの付着量は、CFRPから得られるrCFの残留カーボン量によって、強い結束状態から弱い結束状態まで任意に調整できる。

 尚、この発明については先日特許が公告となり、更にこの基本特許に対して補強特許を出願済みであり、まもなく公開されます。

2.きっかけの2番目は、1に比較して動機不純、あまりにもレベルが低いですが、各種各メーカーのグレードの異なるrCFが手に入り、LPGガス料金と電力料金で、rCFが「使いたいだけ使える」という恵まれた開発環境になることです。

・過去にCFの加工技術開発で、高価な新品は使えず、B格品を購入していたが、それでも2000円/Kg近い価格となるため、大手企業でも限られた研究開発予算では、充分な試作量をこなすことが困難であった。 
・また、収束材の展着は炭素繊維メーカーに依存しており特に最近では指定する収束材を選ぶことは大変な困難を伴う。

rCFは以上のような制約から解き放され、CF本来の用途開発を自由に、資金的な負担も最小限にして行える大変有利な環境であります。
rCF技術は安定した量産体制に入っており、今年は、市場開発に専念いたします。

 以上、新年にあたっての富士加飾㈱の今年1年の行動計画の方向性をお話ししましたが、技術の内容は、12月1日 東京ビッグサイトでの50分間の講演、またはそのダイジェスト版をYouTubeでご覧ください。