CNG ボンベのガス抜きや、切断、炉の運転、RCF 切断、その他のメンテナンス等の一連の項目についての対応や管理の在り方の検討を行う。本実証事業における技術システムは図3.45 の通りである。
この内、RCF 回収に係る部分は、3.2 にてRCF の回収における単位処理能力の検討を実施した範囲(CNG ボンベの前処理、実証炉での燃焼処理、RCF 切断)となっている。本項では、それぞれの工程における管理すべき項目の検討結果をまとめる。
3.3.1 CNG タンクの前処理工程における管理項目
CNG タンクの前処理工程は表3.20 の通りである。この手順を踏まえ、表3.21 に管理項目を示す。
(1) シリアル番号の確認
CNG タンクの所有者の要望に応じて、シリアル番号を確認の上、処理証明書を発行する。
(2) ガス抜き
使用済みCNG タンクは、入荷の時点でガスが残っている可能性があるため、ガス抜きをする必要がある。口金を開けて大気中にガスを放出すると環境負荷が大きいだけでなく、火災リスクも生じるため、コンロに繋いで燃焼させる。
初期段階の実証炉では燃焼処理にコンロを使用していたため、CNG タンクの残ガスを燃焼処理のために有効活用していたが、改良によって加圧式混錬バーナーを導入した後は、特に活用等はしていない。図3.46、図3.47 は、コンロでガスを燃やしている様子である。
(3) CNG ボンベの切断
CNG ボンベはそのまま燃焼処理できないため、実証炉に投入可能な形状に切断する必要がある。まず、残ガスがないことを確認し、次にサンダーでCNG ボンベを切断してCFRP の外装を取り外す。
CNG ボンベの切断は図3.48 にある通り、CF の織り方が変わっている部分にサンダーの刃を入れ、円形に切断し、その後、縦に切り込みを入れてCFRP の外装だけ剥がす。切断した後、CNG ボンベの両端は図3.49 のように外装が残った状態になる。これは当
初は埋立処理せざるを得ないと考えていたが、口金の部分に丸く切り込みを入れることで、両端の外装も取り外すことができ、このドーム状の外装についても、他の試料と同じく燃焼処理によりRCF が回収できることがわかった。
よって、切断工程でCFRP の外装は全て燃焼処理によりRCF が回収でき、残った部材についてもアルミ製であるので金属資源として有価売却ができるため、廃棄物として生じる物はない。
CNG ボンベの切断については、CFRP の粉塵が発生するため、防塵服と防塵マスクを着用する。防塵服は図3.50、図3.51 にあるように黒く汚れるため、作業時間20 時間程度で交換
を要する。
防塵マスクのフィルターについても、図3.52 のように粉塵が付くため、同じく20 時間で交換する。これらの費用については、3.2.2 の単位回収能力の試算において、経費として考慮している。
(4) 試料の保管
CNG タンクから取り外した外装は燃焼処理の試料とする。有害物流出のリスクもないため、図3.53 の通り、屋外での保管とした。
3.3.2 燃焼処理工程における管理項目
燃焼処理工程の手順は3.1.2 で述べた通りである。ここでは、その管理項目を表3.22 に整理した。
3.3.3 RCF 切断工程における管理項目
RCF 切断工程の手順は3.1.5 で述べた通りである。ここでは、その管理項目を表3.23 に整理した。
3.3.4 その他の管理事項
燃焼処理工程において、炉内温度が急激の上昇し、爆発や火災の危険性が認められる等の緊急時の対応としては、ガスを止め、炉内に炭酸ガスを吹き入れる事とする。