7.1 実現可能性

7.1 実現可能性

7.1.1 経済的視点

原料回収・調達は、市中回収物(CNG ボンベ)、工程内の端材(航空機端材)、プリプレグ(不良品)などを対象に、企業連携の上で、国内、海外を含め当初段階の数量の目途がたつとの結果が得られた。事業化は、ペレット、押出材、不織布などへの展開を想定するが、対応規模については、引き続き原料確保の方法(秘密保持も考慮)、実規模での処理方法の確立、需要家と連携した後の利用品質、利用量などの見極めで決まってくると考えている。

今後は、実現可能性等の検討で想定した兵庫県内での整備を想定した上で、事業投資規模を見極め、工場レイアウト、処理動線、施設管理方法、人員配置の検討を進める予定とする。

7.1.2 技術的視点

RCF (リサイクル炭素繊維)の回収装置(熱処理)では、炭素繊維表面が酸化せず、かつ、低環境負荷の条件で束状でのRCF の回収ができ、新品材と同等の性能を発現しうるものが回収できるという結果が得られた。束状のRCF 回収後、連続・定量供給、押出成型などの製品原料化において、RCF の価格は新品の1/2~1/3 と低廉で付加価値の高い再製品(コンパウンド)の製造が可能となると考えている。

既に、半導体製品冶具、搬送ロボットアームなどの製品化に向けて、実ベースの品質評価をいただき、今後は、取引条件としての利用原料、利用品質、利用数量、安定供給などの見極めと、詳細な検討の段階に移行することになる。

今回の実証は、短繊維(1mm~6mm)による回収・利用のみならず、長繊維(25~50mm)の回収・利用への拡張性などの可能性が広がるという結果が得られたことで、リサイクル容易な金属素材に対して、完全なリサイクルシステムが構築しうるものとなることで、金属材料に対し圧倒的な軽量化による、CO2 低減を促進しうることが考えられる。