2024年の年末に準備を始めたブログですが、2025年1月4日に台湾の某会社の忘年会にご招待いただき、準備等に追われ、やっと落ち着き準備を再開いたしました。日本の複合材メーカー、研究機関の動向を合わせるとついに台湾の複合材生産が日本に追いつき、徐々に追い越し始めた感があります。弊社は、この海外の動きに対応できる体制が整いました。

2024年は1月21日に新工場の完成引渡しを受け、新ライン準備がスタートしました。

1バッチ500KgのCFRPの処理を目標とする新型乾留設備は、約3か月の設置調整を経て4月より火入れし稼働を始めました。というと順調に見えますが、既存の乾留炉の5倍の空間で、500℃近い温度を数時間均熱保持するのですから簡単ではありません。

製造を依頼したAikiリオテック様は、ほぼ完ぺきにシステムを設計し、施工して頂きましたが、昇温を伴う稼働のチューニングは富士加飾チームの担当です。乾留炉の生命線といえる熱風発生炉は、LPGバーナーの先端温度が1300℃近くになりますので、SK28クラスの耐火レンガで炎の先端の高温をうけます。最高温度に達すると、施工では判らない炉壁の断熱材の隙間から800℃近い熱流が漏れてきますので、断熱材の補充と耐熱パテで補強します。No3乾留設備もこのような試行錯誤の補強を行った後は、3年以上の連続運転に耐えて初期性能を保っております。

次は、乾留処理部です。過去の問題点を解析し、構造の改良を行いましたが、生命線である密閉性は最終の調整が必要で、数回のオペレーションで完璧な密閉循環構造が完成しました。
これらの改造とチューニングはすべて、Aikiリオテック様に開示し、次の乾留設備のバックデータとします。お互いの信頼に基づく情報開示で、大企業の部門間の様々な確執を経験してきた私にとって、これとは違う、中小企業同士の大変心地よい関係が構築できております。

大型化で現行3メーターの炉長を6メーターに延長したことにより、炉長方向の均熱がどこまで可能かが最大のチャレンジでした。Aikiチームの設計はこれを軽くクリアして、むしろ現行炉より温度分布が改善できました。この思い切った設計により、将来は10メーター以上の乾留炉の設計が可能になり、長繊維が容易に取り出せると思われます。

以上のように、新工場と新設備の立上げの2024年前半はハラハラ、ドキドキの毎日でしたが、本格稼働を始めた現在は、数量を気にせずに本格受注を目指して頑張るのみです。
昨年後半に開発した、アモルファスカーボンの電気メッキ技術は進展が続き、10月の国際フロンティアメッセ神戸と炭素材料展(大阪産創館)で展示を行い大きな反響をいただきましたが、更に12月4日、5日のアエロマートツールーズ・フランスにも展示しました。
12月3日に行われた第一回日仏脱炭素勉強会では日本側の1番目発表者として、最新のリサイクル技術とその成果を報告させていただきました

4日、5日とツールーズのコンベンションセンターでの展示と、会場でのB to Bミーティングを行いましたが、
・リサイクル技術よりリサイクル材料を用いて何が出来るのか?
・今後どのような可能性があるのか?
というところが興味の中心でした。予想通り、rCFの電気メッキ品に興味が集まったと思います。

リサイクル炭素繊維の表面改質技術をさらに進化させ、新しい用途開発の準備を進めております。
新しい構造のリサイクル乾留設備から生み出されるアモルファスカーボンで被覆された炭素繊維は、既存の炭素繊維そのままでは発現できない新しい世界へ踏み出しました。

一の矢、二の矢を放った2025年年頭において三の矢の準備が出来を進めており、2025年後半の発表の機会を有効に生かして、新しいビジネスの創生に向けて頑張りたいと思います。

2025年前半は、これまでの開発、営業活動の成果を期待しており、国内と台湾においての事業推進を進めますが、最も大切な点は、この数年間の開発業務で、スタッフがたくましく成長している点で、今後の量産立ち上げにおいて各工程でのリーダーシップを発揮してくれるものと期待しております。

皆様におかれてましても、良い一年になりますように祈念いたします。