弊社は、本年9月7日、8日に神戸国際展示場で開催される首題のメッセに新明和工業、三菱ガス化学のサポートを頂き出展させていただくことになりました。
久しぶりの出展となりますが、今回の内容は大変意義深い内容となり、これまでの研究開発と事業化の総集編として展示をさせて頂きます。展示内容の概要は下記の通りです。
- 使用期限切れプリプレグクロス(1.5m幅x約60m長)の乾留再生品:新品CFと変わらない艶と品質をご確認ください。(商品化、出荷中)
- 乾式不織布(1.5m幅x40メーター)目付量200g:機械投入時の繊維長を70mmにして強度アップを図っています。(商品化、出荷中)
以上2点の加工品は、三菱ガス化学のバイオナイロンのLEXTERをマトリックスとする、
CFRTP板としてブースに展示いたします。
また、日本複合材料にて試作した、CFRPのC型チャネルとオートバイのキャノピーも展示します。
市場から回収されたCFRPの実物の乾留前後を比較して展示します。
- 過去20年以上、JALの主力機として世界の空を飛び続けたボーイング社のB777の尾翼(世界で初めてのCFRP製尾翼として採用されました)の解体品を乾留処理により炭素繊維を取り出しました。ガラスクロスや超々ジュラルミン製部品やリベットがそのまま乾留され、炭素繊維を容易に分別することができます。
- CFRPは船舶用スクリューにも採用されており、寿命を迎えたスクリューを乾留処理して炭素繊維を取り出し、20㎜に切断後射出成型ペレットとして販売して、海外の自転車メーカー、シューズメーカーに採用が決まり、出荷が始まっています。
富士デザインの信頼性の高い乾留炭素繊維商品群は、精密乾留技術に裏打ちされた品質保証体制によって、ユーザーからの信頼を頂いております。
展示の中央に残炭率で区分された3グレードの乾留品を展示いたします。
・残炭率4~6%に制御された2軸押出し機のサイドフィーダーに適合するグレード
・50~100㎜に切断しても易解繊性が維持され乾式不織布適合の残炭率2~4%グレード
・6~20㎜に切断し、容易に水中に分散する残炭率1~2.5%の湿式不織布(抄紙グレード)
これらの原材料は通常加工会社様以外にお見せしておりませんので会場でご覧ください。
水素ボンベの展示とその乾留結果を展示したかったですが、今回はトウプリプレグの使用前硬化品をご支給いただき乾留処理により、毛羽立ちの少ない3500mのトウを得ましたので、展示いたします。
使用例については、新明和工業様の下水処理槽の上面撹拌プロペラの実物を展示いたしますので、その大きさと材料選定のアイデアをご覧頂きます。
また、2023年6月19日~25日に開催されたパリ航空ショーに世界で初めての航空機用部品のモデルを展示されましたが、今回このサンプルの展示も行います。
今回の展示は、3年前に弊社がリサイクル乾留炉の量産設備を完成に市場開発を開始してから現在までの成果の一部を展示させて頂いており、新明和工業と三菱ガス化学の出資サポートにより本年末に完成する新工場と大型乾留設備の稼働により安定基盤での事業展開を図っていきます。
乾留用原料は、航空機製造時に発生する端材と使用済みCFRP部材をご提供いただきますが、一方では自社製品製造時に発生した端材の水平リサイクルを多数手がけており、サスティナブルな循環社会に貢献いたします。
弊社は、この成果に留まらず更に進化を続けます。
乾留法による炭素繊維は、新品と異なる表面エネルギーを持っており、新品炭素繊維に勝る新しい物性や特性を得ることを見出し、2年前から研究しており、現在の共同開発パートナーに新しい技術メンバーをお誘いし、民間企業企業による新しい技術開発を行い、先端分野の商品群を上市いたします。ご期待ください。
入場無料のメッセではありますが、弊社ブースでは中身の濃い展示を行いますので、次世代炭素繊維の予感と片鱗を感じて頂きたいと思います。
2023年8月2日
富士加飾株式会社
代表取締役 杉野 守彦
リサイクルカーボンファイバーからサスティナブルカーボンファイバーへ
富士デザイン株式会社
新明和工業㈱―富士加飾㈱―三菱ガス化学㈱ 3株主による合同展示
ボーイング社 B777の尾翼の一部と乾留品
精密乾留法は、ガラスクロスやアルミニウム部品を炭素繊維乾留品から簡単に分離しますので、高品質の炭素繊維が分離できます。新明和工業㈱と共同で商品開発中
ナカシマプロペラ(株)ご提供の使用済みスクリューと乾留品
船舶用プロペラにCFRPが使用されているのはあまり知られていませんが、軽量化による燃費向上と航行時の制振性から採用が増えていますが、弊社は全量回収し、乾留した炭素繊維をコンパウンドし、海外の自転車、シューズメーカーへ販売中
航空機製造時使用期限切れ3K平織りクロスの乾留品(全長:約60メーター)
コロナ・パンデミックにより航空機製造が急減速した結果、品質管理の厳しいプリプレグの使用期限切れが大量に発生。60mでも均一に乾留できる生産技術を開発した。得られたクロスの性能は新品と変わらないことが数社のユーザーで試験成型して確認済み。
エコがテーマの自動車のGTレーシングカーから採用が始まり、ヨーロッパからの引き合いも増えている。