4.2 マーケットを絞り込んだグレード開発

4.2 マーケットを絞り込んだグレード開発

RCFを用いた樹脂との組み合わせで、利用用途を踏まえてPCとの組み合わせを行い、薄肉軽量の半導体製造装置に使用する部品のグレード開発を行う。リサイクル炭素繊維の参入目標である、半導体製造装置用冶具、ロボットアームに関して、淀川ヒューテック社をターゲットとしている検討の結果、以下の結果が得られた。

① リサイクルCF の回収形状とサイドフィード機のマッチングを検討しPC 樹脂で条件を確立。RCF25 ㎜の2 軸押出機での対応が可能であること。(※通常は、限界繊維長は6 ㎜程度とされている)2 軸押出機ラインで、長繊維(1~10 ㎜)を残存させる押出法がクリアした。

② PC‐20,25%RCF(繊維長;25 ㎜)の試作完了成果物を回収した結果、リサイクルCF コンパウンドは新品CF とほぼ同等の性能が得られると評価。さらに、ダンベル形状サンプルを準備し、データシートと共にユーザーへ提出した。

③ サイジング剤塗布なしでも、リサイクルCF の樹脂に対する濡れ性良好、新品CF と成
形性に差はなし。

④ RCF のマトリックス樹脂をLCP、PES に拡大し、長繊維CFRTP を試作を推進。5mm 長のリサイクルCF を用いた試作において、T300 回収品とT800 回収品でデータで明確な差異が認められる。

⑤ 試作ペレット中の繊維長残存長は1~3mm と長く、性能向上に寄与している

⑥ リサイクルCF 単繊維の性能調査を大学に委託、80%以上の性能確保中間報告を得た。

今後、事業化に向けては、需要先に併せた品質、性能の調整を考慮した製品開発と同
時に、SDS(安全データシート)、包装形態、包装単位(特に、RCF、コンパウンド品、不織布等)、価格などの整備が必要となる。

炭素材料学会の炭素繊維に関する研究開発テーマは、25㎜以上、できれば50㎜以上の長繊維を用いたコンポジットの開発としており、25㎜~50㎜RCFを用いた事業化は渇望されていると聞いている。

事業化の成否は、原料回収量、RCF 回収量をバランスよく市場に流通させることが必要であり、先発企業が苦戦している炭素繊維販売に頼らず、2 次加工あるいは、さらに川下分野を目指すことで、需要家とのマッチングがさらに進みうるものと考えている。

成果物がペレットという、一つの商品に依存するのは危険と判断し、12 月後半から、リサイクル炭素繊維の2 次加工技術についての検討を追加し、自主開発テーマとして押出材や不織布など種々の再製品化の試作や開発を行った。その結果、市場調査の段階から、RCF の商品開発ステージへステップアップすることが可能となった。

現状の評価は、下記のようになっている。

① 2 軸押出機により25 ㎜繊維長のRCF を板状に押し出したものは、マトリックス樹脂が
PC、PES、LCP のいずれも繊維の破損が少なく、将来プレス用構造材としての市場開発の展開が期待できる。現在、世界でトップクラスといわれているドイツのフラウンホ―ファー研究所より残存繊維長が長く、Vf(体積分率)も60%程度まで上げることができるため、海外マーケットでも優位性を以て事業展開しうると考えられる。

② RCF 湿式不織布は樹脂との濡れ性が良いことから樹脂含浸を行い、表面物性を付与することができた。不織布のみの販売では事業としての競争力がないため、さらに加工のレベルを上げRCF の特徴を生かした商品開発を行う。

③ 25 ㎜ RCF は、熱硬化性樹脂とのなじみもよく混錬品の押出、ロール成形が可能である。これらの物性と成形性を生かした用途開発を行う。それらの需要家の求める弾性率や、衝撃値、さらには流動性、表面性などで異なる。

④ 基本的には、リサイクル対象材発生会社に対し、リサイクルRCF の販売でなくコンパウンドペレット、プレス成型用押出板材(熱可塑タイプ、熱硬化タイプ)を選んでいただき共同開発ステージに持ち込み、商品開発品の納入により継続的な需給関係を構築する。なお、RCFの商品化について多くの可能性を見出しているが、多くのポテンシャルカスタマーに対し、試行錯誤の要素を含む開発から商品化については、一定期間の調整が必要となると考えている。