富士加飾株式会社はユウホウ紡の開発協力を得て100mmrCFを用い、混ぜもの繊維を用いない、100%rCF不織布(コバトロン®️フェルト)の開発に成功した。連続繊維蓄層技術が主流の航空機製造技術に対し、繊維長100mmの不織布は、板厚方向の繊維の存在から、新しい繊維強化材の開発が可能になる。

既に、長繊維強化コンパウンドの量産化に成功しているrCFの熱処理条件等を検討し、業界最長の100mm繊維長で、混ぜ物(繊維)を使わない不織布の開発を可能にした。コバトロンは、LCA値が鉄鋼材料と同じレベルの2.5ton CO2/tonと低く、軽量化のみならず、CO2ゼロエミッションにむけた有力材料として注目を集めている。
コバトロンフェルトは、200g/㎡目付を基本とするロール状で量産を予定している。既に新明和工業(株)との応用に向けた共同研究開発医に着手しており、航空機部材のみならず産業資材部品の開発を行い、rCFのサスティナブルアプリケーションの2本目の柱を構築する。

9月16日、17日に開催されるSDGs展(大阪市中央区産創館)に量産試作品(写真)を初公開すると共に、新明和工業(株)との共同開発のRTM試作品を参考出品する。
コバトロンフェルトは、当面アプリケーションの市場開発を優先し、一般販売は行わず、共同開発パートナーを求め、応用製品、技術の多様化を図る。即ち、連続炭素繊維の加工技術で先行する欧米の技術導入に頼る日本のCFRP分野に対し、開発で先行したrCF量産技術とその2次加工技術を生かした新しいコバトロンコンパウンドに加え、コバトロンフェルトを先進産業分野に提供する。

富士加飾(株)代表の杉野守彦は35年前にCF不織布をユウホウ紡に依頼して開発し、樹脂含浸シートの3D成形CFRPをIBM、SONY、東芝のパソコンやオーディオ機器筐体として量産した実績があり、今回もCFの不織布製造の経験があるユウホウ紡に依頼した。過去の実績を含むコバトロンの開発経緯について、月刊誌「プラスチックエージ」9月号に詳細を投稿しており、参考にされたい。

今回のrCFを用いたコバトロンフェルトは、過去の量産経験を活かし、更にブラッシュアップする予定であるが、新品CFの性能に匹敵するrCFで、マトリックスから生成するアモルファスカーボンによって制御し、rCF繊維同志の結束力を目的に応じて選択できることは、rCFのアプリケーションが新品CFでは得られない新しい用途開発に踏み出した大変意義深い進化と捉えている。


写真:新しく開発したコバルト®️フェルト 
幅1mの連続巻きで、重ねて厚物の製造も可能。