コロナの感染が激しい3月から5月にかけて、コロナ対応に関する内容のブログは余りに も非常識であると思い、ブログをお休み(自粛)しておりました。

 現在もコロナと戦っていただいている医療従事者の皆様には感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。人の命を守るために、お金のためではなく命を懸けて持てる力を全力投入 される医療に携わる皆様の崇高な姿に、戦後の混乱の中から命がけで高度成長を生み出し た技術屋の生きざまと二重写しされて迫力に圧倒されます。

 これからも長い戦いが続くと 思いますが、一人の戦死者も出ないことをお祈りいたします。

 さて、ポストコロナの働き方が話題に上るようになってきましたが、弊社はお陰様でコロナの影響はほとんど受けずに事業を続けております。

  ポストコロナの新しいビジネスパターンを弊社では先取りして15年前から実施しております。研究開発型の中小企業ならではの身軽さ故ですが、この数か月の間もペースをほとんど落とさず、業務を推進しております。

 我社の特徴をご紹介しつつ、その理由をご紹介したいと思います。

 弊社は、兵庫県小野市郊外の万勝寺町という市街化指定地域外の農業地帯で活動しております。

 私は兵庫県西宮市から毎日40Kmの距離を片道約1時間、車で通勤しており、従業員も、近隣から車で約30分の通勤です。更にパートナー会社から、サポートメンバーが来ていただいておりますが、新工場に隣接したゲストハウスに長期出張で宿泊していただき、通勤時間0分で、新工場の量産ラインの立ち上げに汗を流しております。  

 私は、15年以上前に近隣に農地を購入し、主に土曜日、日曜日に農作業を行い有機無農薬米と野菜の栽培を続けております。収穫は主に土、日曜日になりますが、自宅では、収穫した野菜中心に昼の弁当を含む3食のメニューを楽しんでおります。

 また、仲良くなった近隣の養鶏場のご主人に300羽の鶏を放し飼いで飼育していただき、毎日200個くらいの有精卵を、芦屋のミシェラン2つ星の有名京料理店を始め、イタリアンレストラン、チーズケーキ店に卸すとともに、自宅と芦屋で無人販売を行っており、充分に採れた時は野菜も無人販売所で販売しております。

 安全な環境での仕事と有機無農薬の食材が手に入ります。  

 5年前までの約10年はパソコン用材料の開発製造を日本で行い、中国に事務所を構えてDELL、ACER、LENOVO等のパソコン製造会社に販売しておりました。

 しかし、日本の先端技術が流出しかねない中国中心のビジネスに見切りをつけ、日本国内で海外メーカーには真似のできないメードインジャパンのものづくり技術を立ち上げる決断をし、中国でのアクティビティーをすべて停止し撤退しました。   

 その後、幸運にもリサイクル炭素繊維の開発テーマに巡り合いました。このテーマは約30年前に技術確立したテーマでした。

  台湾、韓国、中国で展開した樹脂複合材料の事業化のノウハウに、リサイクル炭素繊維を組み合わせ、新しいビジネスモデルで世界に打って出る構想を、兵庫県小野市の実験室で開発することにしました。

 大阪、神戸の都市部であれば、近くに委託加工先が見つかりますが、車で約1時間の小野市では小さい実験室の中で全てを実行しなければなりません。

 これがコロナウィルスの環境下でも仕事に打ち込める結果を生み出しました。開発の発想段階から、商品化まで、少数精鋭で一気に完成させます。

 なぜ、できるのかご説明します。弊社では、中古の工作機械や設備を数多く稼働させており、ほとんどが東大阪の中古機械工具入札会で仕入れております。
これらの年式は古いですが、日本の古き良き時代に製造された大変頑丈な高精度の機械で、海外製や、最近の日本製のギリギリの設計の機械とは異なるがっしりした機械です。

 新進気鋭のベンチャー企業は、素晴らしいプレゼンテーションを行い、補助金を獲得して新品の機械を定価で揃えるスマートさが身上ですが、我社は新品の1/10~1/100程の価格で仕入れた機械を、テーマごとに組み替え実験室内に並べ、社長以下全員が中古機械を駆使して、最先端技術を開発しております。

 新しい加工が必要になり、倉庫へ行くと使える機械や部品があるので引っ張り出し、試作実験室に設置し新しい開発をスタートします 。

 マーケットニーズを敏感に読み取り、必要な機器を中古で即買いつけ、実験室と生産現場ですぐに実用化するやり方は、大手企業では真似できないスピードであり、活動が制約されるコロナ環境下でも競争力を保持しています。 

 私は、今後日本が再び技術立国を目指すためには、グローバル化は必須ですがその中身は国際分業をやめ、自社でマーケティング情報に基づく商品開発から材料調達、技術開発 、製造、品質保証、出荷までを一か所で行うことが、中小企業の生き方ではないかと思います。

 日本でしかできない競争力のある技術、製品を競合の無い世界(市場)に向けて発信する。これが、真のグローバル化といえると思います。

 これがポストコロナ時代に製造業が生き残る方法だと思いますが如何でしょう?

 私はコロナと戦う、医療関係者の皆様に感謝しつつ、技術屋の本分であるものづくりを社員及びパートナー企業と力を合わせでこれを実行したいと思います。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

2020年5月 小野研究室にて 杉野守彦