年初にあたり今年の展望を述べたいと思います。

2020の挑戦として、富士加飾㈱は、リサイクラー、コンパウンダーから脱皮し、高度な対応力を持つサーキュラーコンポジットメーカーに進化していきたいと思います。

もちろん、リサイクル技術やコンパウンド技術を蔑ろにすることではありません。CFRPリサイクルは弊社にとっては大切な基礎技術であり、これを自在に使いこなし、リサイクル炭素繊維ならではの特徴を生かし、お客様の多様な要望に応え、新しい複合材料商品を提供していきたいと思う次第です。

さて、昨年の3月に環境省の実証事業認定を取得し技術を公開しました。

9月にN-Plus展において2次加工技術をともなう「水平リサイクル」として初公開いたしました。炭素繊維のサーキュラーシステム構築宣言です。

以来、多くの代表的業種のお客様から待ち構えたようにテーマを頂き、驚いた次第です。ワクワク、興奮の毎日です。

ご提供いただいたリサイクル材、工程内端材から最適の回収条件を見つけることができ、お客様の用途に合った樹脂組成と繊維含有率を選択しました。    

使用した樹脂はエンジニアリングプラスチックス、スーパーエンジニアリングプラスチックスの多岐にわたり、使用目的に応じてコンパウンドを試作しました。繊維含有率は30%から最大50%まで対応可能であることを試作で実証し、現在サンプルを提出し、評価して頂いております。

評価結果は良好で新品炭素繊維使用品と遜色のないデーターが出始めており自信を深めております。

樹脂メーカー様の協力体制も出来上がり、一用途一樹脂メーカーの原則の下、NDAを締結し市場への提供ステージに入っております。

RCFのサーキュラーシステムの構築は急務です。

多様な市場から排出されるリサイクル源の形態は驚くほど多岐にわたりますが、技術的に対応する目途が付きました。お客様の評価が進む一方で、量産工場の整備は順調に進み、2次加工設備であるコンパウンド、コンポジット設備の整備ができ次第ペレット販売事業を開始する予定です。

水平サイクルに関する市場調査とリサイクル源の把握、コンパウンドの販売の目途もついて参りました。

本年は、次のステージとして、水平リサイクルの用途のない航空機製造時の端材、プリプレグ残材について、コンパウンドの開発に止まらず、多岐にわたる長繊維コンポジットの開発へシフトし、RCFならではの新しい薄肉高剛性、高強度の技術開発と需要創出に向けて加速してまいりたいと考えております。

富士加飾㈱は、炭素繊維サーキュラーシステムの構築に寄与するコンパウンド、コンポジットの事業を通じて日本のものづくりの復活に貢献してまいりたいと存じますので、本年もよろしくお願いいたします。

2020年 元旦

富士加飾㈱ 代表取締役 杉野守彦